お世話になっております。翔兵衛です。
ステップ1の初回では記帳の基本的な考え方と、決算までの流れを紹介しました。
ステップ1の第2回はそれをふまえたうえで単式簿記に焦点を当てて具体的な記帳方法を見ていきます。
非常にシンプルな仕組みですが今後家計簿記や複式簿記へとステップアップする足掛りとなるため、ぜひ習得していただければと思います。
単式簿記の概要
単式簿記の特徴
第1回で紹介したとおり、単式簿記とはあるひとつの項目に注目して記帳するシステムです。
代表的な例としては「お小遣い帳」や「預貯金通帳」が挙げられます。

注目する項目が増加または減少した場合のみ記帳するため手間を最小限に抑えられること、また記帳の流れの中で常に残高を把握できることが単式簿記の利点です。
帳簿の作りも単純なため、専用の帳簿を作ったり買ったりせずともサッと作ることができるという柔軟性も魅力のひとつだと思います。
ステップアップ!家計簿式現金出納帳
これから単式簿記の記帳方法に入っていきますが、当サイトでは家計簿記への拡張も見据えてアレンジしたオリジナルの現金出納帳「現金収支シート」を用いて記帳することを前提に紹介していきます。

以下のページよりダウンロードできますので、ぜひお使いください。
単式簿記の記帳方法
記帳の準備
帳簿の構成

現金収支シートは画像のような構成になっています。
市販または自作の帳簿で同様の記帳を行う場合にはこれらの項目を入れられるようにしてください。
なおこれは必要最低限の項目であるため、その他必要な情報がある場合には適宜追加することもできます。
- 基本情報(取引日、相手科目、摘要)
(「元」は家計簿記・複式簿記のための項目です。単式簿記では使用しません。) - 金額
- 取引ごとの合計額
- 総合計
主要科目の設定と繰越金額の記帳

主要科目とは、勘定科目のなかでも特に重要度の高い科目です。
発生頻度の高いものや大きい金額が発生しやすいものなど、家計に与える影響の大きいものを指します。
シートには最大3つの主要科目を集計する欄が設けられていますので、右側上部の「支出」にある空欄にその設定した主要科目を書き入れてください。
「残高」の直下には繰越金額が入ります。
シートは一定期間(※)ごとに1枚を使って記帳することになりますが、前の期間終了時における残高がこの繰越金額欄に入ります。
※ 1か月以上1年以下の範囲で自由に設定してください。
あとから変更することもできますが、できる限り最初に設定した期間で記帳することをおすすめします。
当サイトでは1か月単位での記帳を前提としています。

記帳方法
支出
支出があった場合には「日付」「相手科目」「摘要」「金額」をそれぞれ記入し、その支出した金額だけ残高欄の金額を減少させます。
このとき金額の頭には「△」「-」などの減少がわかるような符号を付するようにしてください。
下図3日の取引のように1つの取引に複数の科目が含まれている場合には、最も金額が大きい科目または主たる目的となる科目を代表させて相手科目欄に記入します。
この場合でも「支出合計」には実際に支払った金額の合計額を、主要科目欄にはその取引に含まれている主要科目の支出額を記入します。

収入
収入があった場合も支出と同様に「日付」「相手科目」「摘要」「金額」をそれぞれ記入し、その収入があった金額だけ残高欄の金額を増加させます。
個人事業者や企業と違い家計では収入の手段が限られておりかつ収入が発生する頻度も高くないことから、主要科目の設定は行わずにすべて「収入」として一括で記帳します。

振替
銀行口座への預入れや引出し、有価証券等の購入、借入金や未払金の支払いなど、収入・支出が発生しない資産の移動を「振替」といいます。
振替を行った場合には資産の増減が生じるものの収入・支出は生じないため、収入金額と支出金額の集計に影響を及ぼさないようにその増えた金額または減った金額を収入欄・支出欄には書き入れず直接残高を増減させるようにします。
なおひと目で確認ができるように[]で括るなどしておくと便利です。

なおどの勘定科目が「資産」「負債」「収入」「支出」のいずれに該当するのかは、勘定科目一覧をご覧ください。
主な勘定科目の分類は以下のようになります。
| 勘定科目 | 分類 |
|---|---|
| 現金 | 資産 |
| 預貯金 / 定期預金 | |
| 投資資産 | |
| 短期借入金 / 長期借入金 | 負債 |
| 未払金 | |
| 給与収入 / 利息収入 / 雑収入 / 一時収入 等 | 収入 |
| 食費 / 消耗品費 / 旅費交通費 / 通信費 等 | 支出 |
ちなみに、借入金の返済時に振込手数料を支払ったなど振替取引と収入取引・支出取引が同時に発生した場合には、それぞれ独立した取引とみなして記帳します。

それぞれ独立した取引として2行を使って記帳する
繰越処理
期間の終了時(1か月単位なら月末等)には各勘定科目の集計を行い、その合計金額と残高を翌期間に繰り越します。
収入・支出については各期間ごとにリセットする都度精算法と、集計した金額をそのまま繰り越す累積法の2つがありますので、自身にあった方法を選択してください。

収入・支出の金額を期間終了時にリセットする方法

収入・支出の金額を残高と一緒に繰り越す方法
集計するときに振替取引を含めないように注意してください。
決算
1年の終わりには決算を行います。
家計簿記や複式簿記では
「帳簿の閉鎖 → 試算表の作成 → 精算表を用いた決算整理 → 財務諸表の作成」
と進んでいきますが、単式簿記は損益計算書のみを直接作成します。
決算には「家計実績表」を用います。
こちらよりダウンロードしてご利用ください。
単式簿記の決算書は決まった形がないため、やりやすい様式があるときはそちらで作成してください。
構成

- 収入の合計金額
- 主要科目の合計金額
- その他の科目の合計金額
収入金額の集計・計上
収支計算書の一番上は収入の合計金額を記入します。
単式簿記では収入金額を一括で記帳することを前提としているため図では収入金額1つで記入していますが、区分して集計している場合にはその区分に従って記入してください。

一般支出明細表の作成
一般支出明細表は支出の合計金額を記入するものです。
主要科目とその他の科目に区分して記入する形になっていますので、現金収支シートの最下部にある合計金額をそのまま転記してください。
支出の合計金額は収支計算書の「一般支出計」の欄に転記します。
なお主要科目以外で科目ごとに集計しているものがあるときは、「主要科目計」の下部にその科目ごと集計したものを記入してください。

損益の計算
収入・支出それぞれの合計額が記入できたら最後は損益の計算です。
収入と支出の差額を「家計剰余金」「家計純利益」それぞれの欄に記入してください。
単式簿記の決算書は損益計算書のみですので、この損益計算の作成をもって決算手続きの終了となります。

おわりに
単式簿記の一連の流れを紹介いたしました。
以降はこれらを繰り返して記帳を進めることになります。
一応のルールはあるものの家計の形は千差万別ですから、繰り返し記帳していく中で何か気づきがあれば柔軟に工夫をして最適な記帳方法を育てていただければと思います。
さて次回からは家計簿記の記帳方法に入っていきます。
帳簿の種類や全体の流れから触れていき、各科目ごとの記帳方法、特殊なケース、さらには所得税の申告を見据えたテクニックなど段階的に紹介していく予定です。
それでは。
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